本研究では、La(Ni,Cu)5+xの化学組成を変化させることで、格子のミスフィットの大きさやダンベルペアの濃度を変化させ、空孔形成・回復に及ぼす影響を調べた。陽電子消滅実験の結果、すべての試料において格子欠陥形成に起因した陽電子寿命値の増加が見られた。しかし、化学組成のずれの増加とともに陽電子寿命値の上昇が抑制され、蓄積される欠陥量が低減した。Ⅹ線回折実験の結果も踏まえると、化学組成をずらしたことで、格子のミスフィットが減少し、形成される格子欠陥量が減少したこと、また、ダンベルペアの濃度が増えたことに伴い回復する格子欠陥量が増大したことを示唆する結果が得られた。
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