研究課題
若手研究(B)
本研究では、デングウイルス感染症及びチクングンヤウイルス感染症の発症機序解明を目指した。(1)デングウイルス研究デングウイルス感染における重症化は抗体依存性感染増強(ADE)現象の誘導が原因と考えられているが、その発病機構は複雑で不明な点が多い。本研究では、患者血液を出発材料として作製されたヒト型抗デングウイルス抗体(HuMAb)を用いて、一部のHuMAbが各血清型ウイルスに対してどのような中和とADE活性を示すのか検討することで病態機序の一端を理解しようと試みた。デングウイルス実験室株並びにVero細胞を用いた中和試験結果に基づき、4つの血清型全てに強い中和能を有するHuMAbを選抜した。これ等のHuMAbを用いて、4つの型それぞれに対するウイルス中和能とADE活性の相対的評価をK562細胞を用いた実験系で行った結果、2回目に2型に感染した急性期患者由来ではあるが、2型のみならず広範囲に中和活性が認められ、ADE活性においては2型以外に対して活性が認められた。これ等の結果は病態機序の理解とは結び付かなかった為、当初の実験計画を変更し患者由来の分離株並びに抗体を用いて共同研究者が同実験を行ったところ、其々の系において強い中和活性が認められたが有意なADE活性は認められなかった。ADE活性は実験系(用いるウイルスと細胞)により結果が異なることが示唆された。(2)チクングンヤウイルス研究2010年に行ったチクングンヤ熱疑い患者のサーベイランスで得た血清を用いてウイルス分離を行い、2008-2009にタイでアウトブレイクした同ウイルスとの比較を行った。遺伝子系統樹解析や増殖キネティクスの結果から、2010年のタイ分離株はECSA系統に由来し、より蚊に適応した形で進化を続けている可能性が示唆された。今年度はこれ等の研究成果のまとめ(論文投稿等)並びに全長遺伝子配列決定を完結させた。
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PLoS One
巻: 9