研究課題
若手研究(B)
脳は常に膨大な外部情報を受け、それらを処理・修飾し最終的には行動として出力する。この過程において、自発的情動性は脳内神経ネットワークおよび体内生理ネットワークを通して、外部環境に柔軟かつ迅速に対応する。本研究では、環境により変化する自発的情動性が、脳を介してどのように処理・修飾されるかを分子レベルで解明することを目指した。外部環境、特に異なる光環境による行動変化を検討したところ、恒明条件下では明暗条件下に比べ、概日リズムの周期の延長、スクロース消費テストにおけるスクロース消費量の減少が見られた。また概日リズムの中枢である視交叉上核において、恒明条件下では明暗条件下に比べ、神経ペプチドのNeuromedinUおよびNeuromedinSの発現量が有意に減少していることを明らかにした。NeuromedinUおよびNeuromedinSノックアウトマウスを用いて行動解析を行ったところ、オープンフィールドテストでは差が見られず、強制水泳テストにおいてNeuromedinSノックアウトマウスにおいてのみ無動時間の減少が見られた。以上のことから、光環境は視交叉上核の神経ペプチドの発現に影響を与え、最終的に行動にも変化をもたらすことが示唆された。次に、ストレス条件における自発的情動性の分子メカニズムについて検討した。我々が新たに発見した時計遺伝子Chronoのノックマウスでは野生型マウスに比べ、拘束ストレス後の血清中コルチコステロン量の有意な増加および拘束ストレスに伴う視床下部でのChronoの発現量の有意な上昇を明らかにした。このことから、外部環境により変化する体内生理現象において、概日リズム機構が大きく寄与していることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
分子精神医学
巻: 15 ページ: 48-50
PLoS Biol.
巻: 12 号: 4 ページ: e1001839-e1001839
10.1371/journal.pbio.1001839