研究概要 |
現段階では正常対照者28名および統合失調症患者2名の脳磁図測定が終了している。うち正常者15名の計測データについて予備的な解析を行った。 【結果】以下は正常対照者15名におけるm50振幅の平均測定値である。音声刺激については左半球・第一音では36±18fT/cm、第二音では28±20fT/cm、右半球・第一音では40±37fT/cm、第二音では36±38fT/cmであった。クリック音刺激については左半球・第一音では17±5fT/cm、第二音では14±5fT/cm、右半球・第一音では19±8fT/cm、第二音では19±7fT/cmであった。反復測定分散分析により、有意な聴覚刺激の種類および聴覚刺激の順番の主効果を認め、この結果よりm50振幅が聴覚刺激の種類と左右の半球に関わらず、第1音に対して第2音では有意に減弱することが認められた。 【考察】我々は先行研究として脳磁図を用いて正常者における2連発音声刺激を提示した際のm50振幅の減弱を検討しているが(Hirano Y., et al. Psychiatry Res, 2008)、今回と同様の結果を得ている。また脳磁図を用いた正常者における2連発クリック声刺激を提示した際のm50振幅の減弱については、我々の知る限りではあまりこれまでに検討されていないが、Weilandら(Weiland B.J., et al. Neuroimage, 2008)は脳内電流源を推定した上で、正常者において2連発クリック声刺激を提示した際にm50振幅が減弱することを示しており、今回の結果を支持するものと考えられる。今後は本研究の第一の目的である、ニューラルオシレーションとp50抑制との関連さらには、これらを指標とした統合失調症での感覚ゲーティング異常の検討を進めていくことが重要である。
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