研究課題
若手研究(B)
腸間膜脂肪織濃度上昇"Misty mesentery"の病的意義解釈・悪性腫瘍の検出におけるFDG-PET/CTの診断能を明らかにする研究を実施した。平成21-23年に4236検査が当施設で施行され71検査が研究の選択基準を満たし、後方視的な解析には十分な対象者数を得た。本研究の結果、腸間膜内の結節を評価対象病変としたときPET画像で得られる最大SUV値の至適カットオフ値3.0で感度85%・特異度98%、CT画像での最大短径の至適カットオフ値10mmで感度69%・特異度98%であった。両者の何れかを満たせば陽性と判断した場合は感度92%・特異度97%、両者を共に満たせば陽性とすると感度62%・特異度100%となった。ロジスティック解析の結果、双方が互いに独立した悪性予測の為の意義ある指標と確認された。悪性例では背景疾患に関係なく大半が悪性リンパ腫であった。結論としてFDG-PET/CTは"Misty mesentery"内の悪性腫瘍検出に非常に有益な検査であり代謝情報と形態情報の両者を得ることで威力を発揮することが明らかとなった。本結果は論文としてEur J Radiol 2013:82:e380-5(3月受理・8月出版)に掲載された。悪性例の大半が悪性リンパ腫であり付随所見として後腹膜リンパ節腫大が確認された為、追加研究として後腹膜リンパ節を評価対象病変とした場合の成績との比較を行った。この結果こちらは至適カットオフSUV値8.0で感度38%、至適カットオフ短径15mmで感度31%にとどまり、腸間膜内結節を評価対象病変とした方が有意に良い成績が得られた。本結果を第72回日本医学放射線学会学術集会(H25年4月)で報告した。これらをまとめた成果は中日韓核医学会議(同年11月)で公表した。なお当初引き続き予定していた前向き検討は研究代表者異動につき中止となった。
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European Journal of Radiology
巻: 82 号: 8 ページ: e380-e385
10.1016/j.ejrad.2013.03.016