研究課題
若手研究(B)
本研究は、糖鎖解析の視点から、ヒト胎盤栄養膜由来エクソソームの同定を目指し、さらに、この胎盤由来エクソソームの糖鎖が細胞クロストークにどの様な影響を示すか検討することで、母児間免疫寛容や異常妊娠の分子病態の解明に向け研究を行いました。①栄養膜および他臓器由来エクソソームの比較糖鎖プロファイリング:ヒト栄養膜由来絨毛癌細胞株BeWo、JEG3、ヒト肺胞上皮細胞由来腺癌細胞株A549、ラット肝上皮細胞株WB-F344などの培養上清から、超遠心機を用いた手法でエクソソームを分離・回収し、エクソソームの特徴付けを行いました。レクチンマイクロアレイ解析として、アレイ解析に適切な解析条件検討を進めるため産業技術総合研究所との研究協力体制を準備していたが、退職に伴い、その詳細な検討は課題として残りました。②エクソソームの糖鎖が血管内皮細胞に与える影響(栄養膜―母体細胞クロストーク)検討:糖鎖改変エクソソームの取り込み実験を行うために、糖鎖欠損エクソソームの調製を進めました。また、血管内皮細胞株HUVECにおいて、BeWoエクソソームの添加により、アポトーシスを誘導することを見出しました。エクソソームに含まれる胎盤特異的microRNA(miRNA)の標的mRNA候補として、アポトーシスシグナル経路の分子が標的分子であることを見出し、3’-UTRルシフェラーゼアッセイにより、標的候補であることを証明しました。このことは、in vitroモデルにおいて、栄養膜由来エクソソームを介して母体血管内皮細胞の遺伝子発現がmiRNAにより制御されていることを示唆する新知見を得ました。さらに、BeWoエクソソームが特異的に取り込まれてアポトースを引き起こすのか、他の栄養膜細胞や臓器由来のエクソソームによっても引き起こされるのか、エクソソーム糖鎖のプロファイルを比較しながら検討を進めました。
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