研究課題/領域番号 |
25861607
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 博司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 医員 (80536243)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2014年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2015年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2014年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2013年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 人工内耳 / 内耳奇形 / 聴性脳幹反射 / 聴性脳幹反応 |
研究実績の概要 |
内耳・内耳道奇形は先天性高度難聴の約3割を占める。その中で高度な奇形に分類されるIncomplete partition type 1(IP-1), common cavity、蝸牛神経低形成(CND)に注目し、聴覚神経回路の機能を人工内耳手術時にelectrically evoked ABR(EABR)を用いて電気生理学的に評価した。 IP-1では、3例中5例で明瞭なeIII, eVを認め、その振幅と潜時は奇形の無い対照群と有意差を認めなかった。この3例の人工内耳装用効果は極めて良好で、IP-1の過半数で聴覚神経回路の形成は対照群と同等であることが示唆された。 Common cavityでは、奇形内耳の前下方に位置する電極刺激でのみeVが検出された。対象群と比較すると、eVの振幅は小さいものの、潜時に関しては有意差は無かった。しかし、EABRの波形は全例で非典型で、多くの症例で明確なeIIIを認めなかった。これらの結果は、common cavityを伴う症例では、(1)蝸牛神経遠位端は発生学的に蝸牛に相当する奇形内耳の前下方に分布する、(2)内耳より中枢側の神経繊維の機能はある程度保たれているものの、対照群やIP-1とは異なることを示唆している。 CNDを伴う症例では、聴覚神経回路を賦活するために対照群よりも大きな電流を要する。そのため、EABRの波形が非典型でかつ筋原性の反応が混入することが多い。申請者は、(1)刺激電化依存性の振幅増加を確認、(2)症例によっては全身麻酔下で筋弛緩剤を使用することで、神経原性反応と筋原性の反応を区別し、正確にeVを評価した。その結果、CNDではほぼ全例でEABRの波形が非典型であった。しかしEABRでeVを認めるものは人工内耳装用効果が比較的良好であることから、電気生理学的な機能評価が人工内耳予後予測に有用であることを見いだした。
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