研究課題
若手研究(B)
先行研究においては、新人看護職員研修を円滑に運用するために、所属部署のみではなく看護部全体が研修に関わり、各々の役割を明確にした上で協力体制を構築する必要性が明らかとなっている。協力体制の構築には、研修の企画・運営・実施・評価の中核となる研修責任者が、研修の進捗状況を把握し、その現状を研修プログラムに反映させることが重要だと考える。しかし、新人看護職員を看護部全体で育成する役割を担う実地指導者、教育担当者、研修責任者と役割を任命されていないスタッフとの情報共有の実態は明らかにされていない。そこで平成25年度は、全国の500床以下の病院の研修責任者900名を対象に、情報共有の実態を調査した。その結果、回収数は280件(31.1%)であり、278件(30.9%)を分析対象とした。病床数の平均は317.5±79.2床、新卒採用数の平均は14.9±11.7名であった。研修責任者の役職は副看護部長119名(42.8%),看護師長109名(39.2%)の順で多かった。研修の進捗状況を把握していると答えたのは267名(96%)。実地指導者、教育担当者、研修責任者の三者間での情報共有の程度はVAS(0‐10点で点数が高いほど共有の程度が大きい)で5.7±2.3点、必要性への認識の程度は8.3±1.8点であり、情報共有ができている者ほど、情報共有の必要性への認識が高かった(r=0.408,p<0.000)。また、スタッフとの情報共有の程度は6.0±2.0点、必要性への認識の程度は8.6±1.4点であり、スタッフとの情報共有ができている者ほど認識が高かった(r=0.294,p<0.000)。指導状況の把握のために使用されているツールは、新人看護職員指導計画書168件、看護技術チェックリスト256件、指導情報共有ノート63件、その他34件であり、技術チェックリストが多くの施設において活用されていることが示唆された。
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