研究課題
若手研究(B)
皮膚の表皮ケラチノサイトにおいて、細胞膜突起形成のシグナル伝達、特にGタンパク質共役受容体のPAR-2の下流で機能する分子基盤を理解することを目指した。Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)であるGRK6が細胞膜突起形成を誘導することから、PAR-2/GRK6経路に焦点をあてて解析を行った。siRNAによりGRK6をノックダウンした表皮ケラチノサイトでは、コントロールsiRNAを導入した細胞と比較して、コフィリンのリン酸化(不活性化)レベルが亢進していることを明らかにした。GRK2やGRK3をノックダウンした細胞では、コフィリンのリン酸化レベルに変化はなかった。また、GRK6をノックダウンした表皮ケラチノサイトの細胞運動能をスクラッチ法で検討した。その結果、コントロールsiRNAを導入した細胞と比較して、GRK6をノックダウンした細胞では運動能が有意に低下していることが明らかになった。GRK2やGRK3をノックダウンした細胞では変化はなかった。GRK6ノックダウンにより、コフィリンのリン酸化(不活性化)レベルが亢進しており、アクチンターンオーバーの抑制が細胞運動能の低下を導いていると考えられた。以上の結果から、GRK6は表皮ケラチノサイトにおいて、コフィリンの活性化を制御し、細胞運動能亢進に関与する因子であることが分かった。
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