超高真空下における高精度製膜と放射光磁気分光のその場測定により、スピントロニクス材料として応用が期待されるグラフェンと磁性単原子層からなる積層界面について、磁性・電子状態および原子構造の解析を行った。Ni単結晶上のグラフェンにFe原子層をインターカレーションさせて得た積層界面では、約2原子層厚までのFe層内で磁気モーメントがバルク結晶の場合より大きく、面内強磁性が発現していることが明らかになった。一方、Feが約3原子層を超えるとFeサイトの磁気モーメントが消失する現象が見いだされ、グラフェン層へのスピン注入の前提となる強磁性界面の成立にはFe層の原子層厚制御が重要であることがわかった。
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