本研究は,全国の消防本部に研究協力を依頼し,都市部,農村部で転倒状況に相違があるかどうかを明らかにした.調査項目は,受傷者の性別,年齢,転倒の発生場所,発生時期,転倒後の傷病程度とし,都市部と農村部で転倒状況を比較した.結果,都市部で生活する高齢層の女性の転倒搬送件数は,農村部の女性より高値であったが,転倒の発生場所や発生時期に違いは認められなかった.救急搬送を伴った転倒は,女性の高齢層において農村部より都市部で転倒搬送件数が多く発生していたことから,生活形態や住環境の相違が転倒状況に何らかの影響を与えている可能性があると考えられた.
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