研究課題
若手研究(B)
雑煮、鍋料理等において餅を煮る際、餅が溶けて小さくなり、汁を濁らせる「煮溶け」という現象が起こるが、その要因は不明である。そこで本研究では、1.餅の煮溶け性を数値化して評価する手法の開発、2.餅の煮溶け性におけるモチ米品種とその主成分である澱粉の理化学的性質との相関解明、3.餅成形後の保存期間及び保存温度が煮溶け性に及ぼす影響と澱粉の理化学的性質との関連解明を目的とした。(1)餅の煮溶け性の数値化の検討 餅の煮溶けの問題としては、①餅が小さくなる、②汁が濁る、③汁の粘度が増す、の3点が挙げられる。餅が小さくなる点については、餅の煮溶け前後の重量変化を調べることで再現性良く評価できた。汁が濁る点については、汁の濁度を分光光度計にて測定する評価法を確立した。汁の粘度については、オストワルド型毛細管粘度計での粘度測定で評価できた。また、餅を加熱することにより汁に溶出する糖の定量方法としては、フェノール・硫酸法が適当であることを示した。(2)餅の煮溶け性と澱粉の理化学的性質との相関解明 (独)農研機構の各地域農業研究センター及び作物研究所で栽培されたモチ米と、市販品のヒヨクモチとの計30試料米から澱粉を抽出し、その特性を明らかにした。また、(1)で示した3つの手法により餅の煮溶け性を評価し、澱粉の理化学的性質との関係性を検討したところ、餅の煮溶け性と澱粉の理化学的特性との間に明確な相関関係はないことが明らかとなった。(3)餅成形後の保存期間及び保存温度が煮溶け性に及ぼす影響 餅成形後、冷蔵庫もしくは冷凍庫で3日ないし7日間保存した餅の煮溶け性を評価したところ、餅重量の測定により、冷蔵よりも冷凍した餅の方が煮溶けにくいことが明らかとなった。保存期間が煮溶け性に及ぼす影響については、有意差は見られなかった。汁の濁度及び粘度については、保存期間及び保存温度の影響は認められなかった。
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