研究課題
若手研究(B)
近年、ミトコンドリアにおける、ATP産生、アポトーシス誘導とミトコンドリアCa2+シグナリングとの関係が注目を集めている。本研究では、最近同定されたNCLX(ミトコンドリアNa+ / Ca2+交換体)に注目し、以下の解析を行った。まず、抗NCLX抗体を作製し、NCLXの組織分布を解析した。野生型マウス由来の各臓器の粗膜画分を用いてウェスタンブロティングを行い、各組織におけるNCLX発現量を比較した。その結果、NCLXは、心臓などの筋組織に多く発現していることを見いだした。また、血管平滑筋由来培養細胞を用いて共局在マーカーとの免疫染色を行い、NCLXがミトコンドリアに局在していることを明らかにした。Na+ / Ca2+交換体は、ミトコンドリアに発現するNCLX以外に、細胞膜に異なるタイプ (NCX、NCKX) が発現していることが知られている。そこで、NCLX特異的な機能を解析することを試みた。近年、立体構造が明らかにされた古細菌NCXのデータを元に、NCLX、NCKXの配列解析を行い、機能ドメインを推測した。これらの情報を元に、NCLX、NCKXの機能ドメインを入れ替えたキメラコンストラクトを作製した。NCLXの機能を個体レベルで解析するためには、NCLX遺伝子欠損マウスは必須であるが、現在までに報告はない。そこで、NCLX遺伝子欠損マウスの作製を行い、現在、NCLXホモ欠損マウスを得ている。今後は、これらのマウスの表現系を解析する事により、個体レベルでのNCLXの機能解析が進むものと思われる。
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