本研究では、沖縄返還運動の経験が日本本土の人々にもたらした意味を、旧薩摩藩であるところの鹿児島、および米軍政下とそこでの復帰運動の経験を沖縄と共有する奄美という二つの地域に即して検討した。地理的に沖縄に隣接する鹿児島は、沖縄返還運動の主要な舞台の一つとなり、施政権返還によって「隣県」となる沖縄との新たな関係性を模索する動きがみられた。また、奄美の沖縄返還運動は、奄美自身の復帰運動の経験が還流するという独自の特徴を有していた。両地域における沖縄返還運動は、当該地域の沖縄との関係性を色濃く反映しながら展開されたことが明らかとなった。
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