アイルランドの女子高等教育機会獲得運動は、多学問的視座に立って考察できる興味深い現象である。本研究ではゲ―リック・リーグの女子支部を有した女子カレッジと文芸復興を支えたダン・エマー・ギルドの果たした教育的役割に伴う文化史的意義を考察した。また、ジョン・バンヴィルやアイリス・マードックが描いたガヴァネスがアイルランドの歴史と文学の狭間でどのような描かれ方をしているのかを考察した。アイルランドにおける女性の高等教育進学率の高さと実際の就業率の低さとの関連をみていくと、この運動は現代社会学的問題としてもとらえられることが分かり、アイルランド研究のさらなる可能性が窺えた。
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