本研究の目的は、原子気体の冷却で大成功を収めたレーザー冷却の手法を、実用的な観点からより重要な固体の冷却に適用できないかを探索するものである。当初のアイデアは、固体中のフォノンを介した光の散乱過程のうち、高いエネルギーの光が散乱される確率をシリコン微小球共振器で増強するものであった。本研究では、サブミリメーターサイズの球体の強磁性体(YIG)微小球内に励起する長寿命マグノンを介した光の散乱過程で同様の冷却ができる可能性を見出した。この成果は、世界初のマグノンのレーザー冷却の実現に結びつくものと考えられる。
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