近年、遺伝的多様性や形質の進化が生物の人口学的動態に与える影響が注目されているが、そのメカニズムの理解は充分とは言いがたい。遺伝的多様性や表現型多様性は集団の生産性や安定性、持続性を高めたり、集団の更なる適応進化の可能性を増加させたりすることが示唆されてきた。本研究では、多様性の進化が生態的動態に与える影響を植物や動物を含む複数の系において実証的に調べたところ、遺伝的多様性も表現型の多様性も集団のパフォーマンスを高めることやその背景にあるメカニズムを明らかにすることができた。これらの成果は、生物の形質の変化や個体数の変化を包括的に理解することに貢献するものである。
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