研究課題
研究活動スタート支援
BCI(Brain computer interface)あるいはBMI(Brain machine interface)を用いると、被験者は自分の脳活動によってPCのカーソルやロボットアームを自由自在に動かすことができる。このように自己の身体ではない外部機器を意のままに操ることができる脳神経活動のメカニズムには不明な点が多い。このメカニズムは様々な精神・認知・運動機能疾患の病態生理を知る上でも重要であると同時にメカニズムの理解は治療法の開発に直接つながる可能性がある。本年度我々は、げっ歯類に対するin vivo2光子カルシウムイメージングによって記録した神経活動をリアルタイムに解析することにより、BCI/BMIのもっともシンプルな例である単一細胞オペラント条件付けをセットアップし、実行した。あらかじめレバー引き課題を習得したマウスを用いることによって即座に単一細胞オペラント条件付けを高効率に実現することができた。マウスは課題開始後15分の間に目的の単一細胞活動を特異的に上昇することができた。2光子イメージングを用いることの利点は多数の神経細胞の空間情報を同時に取得できることである。このため、ターゲットした神経細胞の空間的近傍に位置する神経細胞とそれ以外の神経細胞で活動を比較した。空間的近傍に存在する神経細胞はターゲットした神経細胞の活動との相関は高かったにも関わらず、条件付けはその他の細胞と同程度であった。
2: おおむね順調に進展している
2光子単一細胞オペラント条件付けに関しては、当初の予定通り、セットアップを速やかに完了した。画像のリアルタイム解析はルーティンレベルで行うことが可能な系を構築した。カルシウムイメージングのため用いたGCaMP7は、ウイルス導入後約2週間から4週間、明るい蛍光を維持し、その低いベースライン特性と高いシグナルノイズ比は、条件付けに最適であると考えられた。NpHRを用いる実験に代わり、ChR2を用いる実験を加えることで、条件付けを人工的に構成することに成功したため、今後のメカニズムの研究に有用であると考えられる。
2光子単一細胞オペラント条件付けにおいては、単一細胞を用いたが、これを多細胞同時に用いることでより多くの自由度を同時にコントロールすることができるかどうかを検証する。また、NpHRは多量に導入すると細胞死を引き起こしやすく、少量であると効果が小さい。このことから、NpHRの濃度の最適化、トランスジェニックマウスの応用、別の光反応性に神経活動を抑制できる遺伝子を用いる、という複数の方針を検討している。
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Frontier in Neural Circuits
巻: 7 ページ: 1-10
10.3389/fncir.2013.00160