研究概要 |
【研究目的】 本研究は、肢体不自由の視覚認知機能に課題のある児童を対象に、フロスティッグ視知覚検査(以下, DTVPとする)の下位項目から支援方法を分類・整理することで、支援方法がどのような視覚認知機能の手だてになるかを明らかにし、その効果を基にした教材・手だての開発を目的とした。 【研究方法】 研究1 : 肢体不自由特別支援学校の算数科4領域での教材・手だてを収集し、その特徴に応じてDTVPの下位項目で分類・整理した。 研究2 : 研究1の結果示された量と測定領域、図形領域の教材・手だてを、DTVPの下位項目で詳細に検討した。 研究3 : 研究2の結果示されたII図形と素地、III形の恒常性の観点で教材・手だてを開発し、5年生の授業で検証した。 研究4 : 指導前後に対象児童のDTVPを測定した。 【研究成果】 研究1より、量と測定領域、図形領域では, 特にDTVPの下位項目の教材・手だてを要していることが見られた。研究2より、量と測定領域、図形領域では、DTVPの下位項目II図形と素地、III形の恒常性に関しての教材・手だてをとることが多く見られた。研究3より、DTVPの観点で開発した教材・手だてを実践したところ、対象児の理解・技能、関心・意欲・態度が高まることが見られた。研究4より、DTVPの結果は、指導前後で大きな変化は見られなかった。このことから、視覚認知機能に課題のある児童の算数科の量と測定領域、図形領域に関しては、II図形と素地、III形の恒常性に関した教材・手だてが求められ、このような教材・手だては理解・技能を深めるだけでなく、関心・意欲・態度にも影響していることが示唆された。また, 対象児のDTVPに大きな変化は見らないことから、このような教材・手だてを用いることで視覚認知機能を補完する効果が示唆された。算数科の教材・手だての支援方法は、自立活動の指導との関連から整理する必要性が見られた。
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