研究概要 |
本研究の目的は, 我々研究室において大量消費している高価なAl_2O_3(サファイア)基板の再利用である. 研究背景として我々は, GaN(窒化ガリウム)に代わる有望な化合物半導体材料である安価で安全なZnO(酸化亜鉛)を主材料としたナノ構造体による白色LEDの研究開発を行っており, そのZnOナノ構造体は主にAl_2O_3嶠基板上に作製している. 用いている単結晶Al_2O_3基板は, 近年量産化技術の確立により価格が下がってきているが, 機械的強度があるため加工費がかかり, 現在も1枚当たり数千円での納入となっている. しかし, 良質なZnOナノ構造体を得るためには、数多くの条件での試作を必要とし, それに伴い大量のAl_2O_3基板を消費している現状がある. また近年の研究費削減による購入枚数の制限や資源の有効利用という観点からも再利用は非常に有意義であり, 不可欠であると考えている. 今回の試みにより年間数十万円程度の経費削減につながり, また, この技術を用いた他材料への応用や他技術へ応用についても発展していくと考えており, 日々研究を遂行している. 本年度は, 基板全面照射時において問題となっていたビーム重なりによる基板ダメージについて, レーザー照射条件を見直した. 結果, 1パルス照射時における最適条件を, 照射フルエンス0.5J/㎠→0.35J/㎠, スポットサイズ直径3㎜→5㎜, パルス数1回→3回とすることにより, 基板表面状態をほぼ新品に近づけることが出来た. (SEM, AFMにより確認)その後, 新品基板との比較として, 同条件にてZnOナノワイヤの再成長を試みた. 結果, ナノワイヤは出来たものの, 同じようなワイヤ長を得ることが出来なかった. (新品基板の1/5程度)
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