[研究目的] 食肉加工業では牛や豚、馬等の家畜を屠殺して解体し、食肉に加工する際に大量の血液が排出される。この廃血液はほとんど未利用とされ、産業廃棄物として処理される。ヘモグロビンが取り出された血球膜はホワイトゴーストと呼ばれ、任意に各種物質の封入・取り出しを行うことが可能であると考えられる。またホワイトゴーストに再度物質を封入した血球膜をリシールドゴーストと呼んでいる。本研究では現在産業廃棄物として処理されている廃血液水からホワイトゴーストおよびリシールドゴーストを調製し、数μmサイズの"ミクロの容器"としての工学的利用を目指している。 [研究方法] 1. 市販血液水(ウマ、ウシ、トリ)よりホワイトゴーストを調製する。 2. 調製したホワイトゴースト内部に蛍光物質(オーラミンO、ローダミンB)を封入し、リシールドゴーストを調製する。 3. 調製したリシールドゴーストを金属基板(Cu、Fe、Al板)へ固定化する。 [研究成果] ウマ、ウシ血液からリン酸等張緩衝液(pH7.4、450mOsm)およびリン酸低張緩衝液(pH7.4、20~50mOsm)を用いてホワイトゴーストを調製することが出来た。トリ血液からも同様に試みたがゼリー状に凝固したためホワイトゴーストを調製することができなかった。調製したウシとウマホワイトゴーストへ蛍光物質を凍結溶解法により封入を行った結果、ホワイトゴースト内にオーラミンOが20~30%、またローダミンBが4~20%の封入率で封入することができ、リシールドゴーストを調製できた。調製したリシールゴーストをカルボキシチオールを用いて金属基板(Cu、Fe、Al板)へ固定化を試みた。SEM、水接触角計、蛍光X線の結果より固定化が出来たことを確認した。
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