研究課題
基盤研究(B)
超原子価化合物は形式価電子数が8を超える典型元素を有する化合物であり,一見してLewisのオクテット則を破ることからその安定性の起源に興味が持たれてきた。1950年代には分子軌道法に基づき3中心4電子(3c-4e)結合モデルによる解釈が提案され,今日でも広く用いられている。本研究では,応募者が開発を続けてきた極低温イオントラップ気相分光法を駆使することで,この結合モデルに対する分光学的な視座からの検証を行う。併せて,対応する電子状態における振電・振動準位エネルギーを気相化学反応性と比較し,その相関を明らかにする。従来の形式的・定性的な記述を超えた超原子価化合物の結合論を開拓する。