研究課題
基盤研究(C)
本研究は「科学革命」の潮流と「宗教改革」の潮流とが交差する近世ドイツ語圏における自然神学的な思想を扱う。パラケルスス(1493/94-1541)は近代医学と科学思想に多大な影響を与えた16世紀の医学改革者である。彼とその支持者たちの医学改革運動は「パラケルススス主義」と呼ばれるが、この運動は16世紀末以降、新旧キリスト教派の論争・政治的混乱を背景として、宗派対立を克服する「普遍的な信仰の道」として、学問と信仰の一致に基づく独自の自然神学を展開していく。この過程を史的・文献学的に跡づけることによって「学問の進歩」と「信仰の刷新」が求められたこの時代の歴史的局面に着目する研究である。