研究課題
基盤研究(C)
本研究は、第二次大戦後のイギリスにおいて、優生学が障害者の社会的排除をいかに促進したかを検証する思想史研究である。イギリスは優生学発祥の国であるが、福祉国家思想の普及に伴い、その影響力は第二次大戦以前に衰退したと既存研究では認識されてきた。この通説に対して、本研究は「戦後イギリス優生学が障害者の社会的排除において重要な影響を与えたのではないか」との仮説を提起する。この仮説を検証するため、1940年代-60年代の①優生学協会、②福祉国家思想、③中絶法推進運動を調査し、これらの組織・思想・運動に見られた優生学的言説が、障害者の社会的排除(=隔離・断種・中絶)をいかに促進したかを分析する。