研究課題
基盤研究(C)
本研究は、冷戦期における日本文学の変容を、米国広報外交の働きかけに対する受容と葛藤という観点から掘り下げる。冷戦期において米国は、文化を武器とみなし、いわゆる文化冷戦の戦略を展開した。同盟国日本の文学者に対しては、米国留学、国際会議への招聘などが進められ、江藤淳、大岡昇平、安岡章太郎、小島信夫、庄野潤三、有吉佐和子、石井桃子らが渡米した。彼らの異文化体験は、冷戦下の国際関係や日米同盟に対する発言への影響にとどまらず、国家と家族の関係、ジェンダー観、身体観など文学的な表象にも影響を及ぼしている。文学に表れたグローバリズムと家族・身体・性などミクロの政治との相関を明らかにすることを目指す。