研究課題
基盤研究(C)
本研究は、佐藤春夫、芥川龍之介、太宰治の作品を主な対象として、象徴詩・探偵小説・映画という三つのジャンルが融合していく様相を捉えようとするものである。これら三つのジャンルには、断片的な情報を響き合わせたり連続させたりすることで全体を構成するという共通の性質がある。象徴詩と探偵小説双方の祖であるエドガー・アラン・ポーが開拓したと言えるこの方法は、20世紀に入ると映画の形式にも見出されて文学作品にさらなる変化をもたらしていく。本研究は、探偵小説の「散文詩」としての受容の文脈を掘り起こすことから始めて、詩・探偵小説・映画の相互作用が生み出した作品の方法と意義について考える。