豊住書店史料は、書店運営の実際を把握しうるきわめて貴重な史料である。奈良所在の本屋であることから事例は奈良に限られることになるが、近代日本の出版流通史という統括的な視座から分析することで、個別具体の事例をマクロな視点で共有し、各地域における個別具体の事例を討議しうる土台の提供を目指す。 また豊住書店史料は一点資料であり、未公開史料ということもあって、研究史料的に見れば閉鎖的な資料とも言える。その資料を本研究で閉じるのではなく、豊住書店資料研究を研究用資源となりうる成果として広く公表することで、出版史研究を促進し、関連分野の研究に寄与することを目指す。
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