本研究は江戸時代に出版された和刻本漢籍、特に漢詩文集の訓点を研究対象とし、以下の2点について明らかにする。 ①江戸時代に出版された漢詩文集和刻本訓点の特徴や正確さ。漢詩文集の和刻本に付された訓点は正確さを欠き不十分なものであるとみなされてきたが、訓点を精査すると、本文の緻密な解釈を反映したと思われるものが存在する。そこで、訓点の正確さや特徴について改めて考察し、再評価を行いたい。 ②施訓(付訓)は誰が行ったのか。①に関連して、漢詩文集に付される「凡例」等の記述には、編纂者である漢詩人が付訓に関与したことを窺わせるものがある。誰が施訓を行ったのかという問題についても考察し、可能性の一端を示したい。
|