本研究は、現存作例が存在しないと考えられている漢画系画題の情報を精確に整理し、それらがいわゆる「五山文学」をはじめとする漢文学だけでなく、中世日本文学全体に及ぼした影響について解明することを目的としている。題画詩には絵画作例が現存しない画題が多くあるものの、それは失われて今の我々が鑑賞することのできないものだけでなく、そもそも絵画作品として残されなかった「架空の画題」も存在していたのではないかと想定している。本研究課題において、禅林における詩会の分析などを通じて、絵画として描かれることのなかった「架空の画題」が生み出されたメカニズムについても検討する所存である。
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