本研究は、『平治物語』の古態本とされる第一類本を対象として、その本文の変容の状況を総体的に捉え、古態の内実を再検討するものである。いわゆる完本を欠く第一類本については、その古態性について再検討の必要が先行研究において提起されたものの、十分な考察が行われていない現状にある。 そこで本研究においては、現在確認されている第一類本本文の10伝本を対象に本文分析を行い、異同状況を可視化するために全文対校表を作成、公開する。また、これまで取り上げられることの少なかった物語外部の文献も対象に加えることにより第一類本の形成過程、成立時期を明らかにしたい。
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