研究課題
基盤研究(C)
本研究は、フランクフルト学派の思想家たちにおける〈共作〉の問題を、「媒質」というベンヤミンに由来する概念を軸に検証することを目的とする。初期ベンヤミンの媒質論では、自己/他者の境界を、それぞれの差異を保ちながら揚棄するという理念が追求された。本研究では、フランクフルト学派の表出形式を特徴づけるコラボレーション(共著、共同研究、往復書簡…)およびその背景をなす理論的言説において、ベンヤミンの媒質論の基盤をなす〈主体性の解体〉というモティーフが密かに受け継がれたという仮説を出発点に、ベンヤミン、アドルノ、クラカウアー、クルーゲによる〈共作〉の実態を包括的に考察する。