研究課題
基盤研究(C)
本研究は、J.G.ハーマンが実存的危機の中で綴ったテクスト群(1758年頃に成立した『ロンドン著作集 Londoner Schriften』)をおもな対象とする。これらを自己省察文学と位置付け、手稿や歴史批判版の批判的検討や関連する諸資料との比較分析など文献学的手法を用いた研究を行う。それにより、古今のキリスト教文学と敬虔主義の流れにありつつも、伝統的なキリスト教の枠内に留まることなく啓蒙主義批判に至ったハーマンの独自性が浮き彫りになる。文学や思想に影響を与え続けたハーマンの思想の原点を再評価し、現代社会における〈自己〉の認識や〈精神〉と世界との関係性に新たな知見と視座を提供することを目指す。