本研究は、指示詞を構成要素に持つ副詞における文法変化を明らかにすることを目指す。具体的には次の2つのタイプの語群を対象とする。「とかく」「とにかく(に)」「ともかく(も)」「とても(かくても)」などの「と~かく~」系と、「さぞ」「さも」「さほど」などの「さ」系である。これらの副詞について、指示詞体系の変化や、下接する助詞・形式名詞の変化との関わりを視野に入れて考察を行う。素材となっている表現の歴史変化が、それぞれの副詞の成立と展開にどのように関係するのかを扱うことで、個別的な語史研究にとどまらない、文法史研究としての副詞研究を実践する。
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