本研究は、本州方面から日本列島の北方地域(現在の北海道とその周辺とする)へと流通する塩の生産から消費(先住のアイヌ民族への受容も含めて)のみならず、塩蔵品用の保存料として使用され、本州方面へ「再出荷」されるまでの過程について総合的に明らかにするものである。対象とする時期については、北方地域への塩を含む「和製品」の流通システムにおける大きな画期とみられる江戸後期から明治期を想定する。この前提として、瀬戸内海沿岸、とりわけ広島県竹原で生産された塩が、当時の国内物流の大動脈ともなった、いわゆる「北前船」によって、北方地域へと流通する時期であることを意識する。
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