研究課題
基盤研究(C)
本研究は、近代日本の脚気研究を「植民地医学」という観点から再検討する。従来、脚気病因論争研究は高木兼寛や森林太郎のような著名人の活動した明治中期までに限定されてきた。脚気研究史を日本人医学者の模索と苦闘というナショナルヒストリーとして描く傾向も顕著だった。しかし、明治後期、台湾や朝鮮などの植民地で活発な脚気研究が展開され、新たな学問的争点が形成された。本研究は、第一に、植民地で活動した日本人医学者に着目し考察の枠組みを空間的に拡張する。第二に、当時期の脚気研究の主舞台となった臨時脚気病調査会の役割を再考する。