植民地期朝鮮における地域社会秩序の変容過程について、身分解放運動である衡平運動に対する社会的排除の動向に注目しながら考察する。朝鮮の地域社会秩序を考察するにあたっては、中間層の包摂過程を制度史的観点からとらえるのが一般的であったが、植民地支配の歴史的性格を構造的に理解するためには支配政策の検証のみでは不十分であり、地域社会との動態的関係において把握する必要がある。社会的排除のメカニズムは社会的包摂と表裏一体に機能するが、そうした動向には地域社会の対立・協力関係が端的に表れる。そのため、その動きを動態的に分析することで、これまで蓄積されてきた地域社会の動向をより多角的に検証することが可能となる。
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