研究課題
基盤研究(C)
本研究は、中国の喪葬儀礼と仏教信仰との関係を、考古学的方法により解明しようとするものである。まず、基礎作業として墓室内の壁画・葬具や副葬品に反映された仏教的要素を集成・検討し、墓室内の「儀礼と信仰の空間」を復元する。次に、僧侶の墓塔について検討し、出家者の葬儀と在俗貴族の葬儀の差異を明確にする。さらに、唐代に仏塔の地下空間が墓室を模倣した構造へと変化し、棺をかたどった舎利容器が導入されることに着目し、仏塔と墓葬の間の相互の影響関係を究明する。これらの検討を通じて、喪葬儀礼と仏教信仰が相互に関係しながら、新たな儀礼と信仰の空間が生み出されていった過程を明らかにする。