本研究の目的は、パチプロ(パチンコ・パチスロで生活する人)の中でも「攻略プロ」と呼ばれる人々における、他者への気遣いの心的論理を明らかにすることである。申請者はこれまで、確率論に基づきプレーするプロが、自らの稼ぎを抑制して店に配慮する一面を持っており、それがレベルの高いプロならではの実践であることを論じてきた。そこで、本研究は、パチプロの中でもトッププロと称される「攻略プロ」たちに焦点を当てる。彼らの実践は、確率論や偶然性の議論の範疇にはもはや収まらない。彼らの実践から他者への気遣いに関する議論を発展させ、これを既存のケア論が見落としてきた「もうひとつのケア」として位置づけることを目指す。
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