本研究においては、行政の監督を受けている企業や個人が第三者に損害を生じた場合、直接の加害者である企業や個人だけはなく、行政がその監督権限を怠ったとして損害賠償責任を追及されるという監督不作為責任を研究対象とする。このような場合、監督者たる行政ではなく,直接の加害者が原則として損害を負うべきとの考え方や、また、行政が損害賠償責任を恐れて監督を強化することとなり、監督を受ける企業や個人の権利が侵害されるのではないかとして監督不作為責任を制限すべきとの考え方見られる。本研究は、このような監督不作為責任を制限する法理につき、同分野で判例が見られるフランス行政法との比較法研究を踏まえて、明らかにする。
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