研究課題
基盤研究(C)
本研究は、解釈論・立法論が共に重視するも理論的基盤の研究は薄い住民自治概念について、他の法概念との関係を明らかにし憲法上の要請の射程を見極める作業の前提として、歴史的研究を行う。住民自治概念は、19世紀末に法的・政治的自治の二分法により成立し、その含意について論者が有する法理論を反映する変遷を経て、ドイツ公法学通説の承認を得た。同概念を明治期日本公法学は継受し、それ以来、自治を把握する理論枠組みとして用語法の揺れはあれど維持されている。この経緯から明らかな通り、同概念の法概念体系上の位置の歴史的追跡は、公法学史研究にとっても、今後の堅固な理論的検討の前提確認のためにも、ともに重要な作業である。