近年の契約責任論では、契約不履行による損害賠償(民法415条)の根拠を契約の拘束力に求め、賠償範囲(民法416条)についても契約に即して判断する考え方が提唱されている。他方、契約には、債務者の損害賠償責任を全面的に排除し、または、これを金額的に制限する条項が含まれていることがある。このような免責条項は、債権者の法律上の権利を制限するものとして、規制の対象とされてきた。それでは、法律が責任の有無・範囲の基準を契約に求める場合、その契約の一部である免責条項の規制基準はどこに求められるのか。本研究は、このような契約責任論と免責条項論の関係を考察するものである。
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