この研究は権利支出と財政破綻の関係を明らかにすることを目的としている。権利支出とは年金や公的医療保険など特定の条件を満たす個人や団体に支払われる政府支出のことである。権利支出は法律によって支出が義務付けられているため、政府にとっては借金と同じような意味を持つ。権利支出を政府の借金の一部と捉えると、財政破綻リスクとも深い関係があるはずだが、権利支出がどのように形成され、財政破綻リスクにどう影響するのかについては、これまであまり分析されてこなかった。 本研究は政治経済モデルに基づいて、どのような場合に過大な権利支出が設定され、財政破綻リスクを高めてしまうのかを理論的に明らかにすることを目指す。
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