日本では、2010年以降、上場企業は、IFRSを任意に適用できるようになった。IFRSは財務諸表の比較可能性を向上させ、情報の非対称性を小さくし、外国からの投資を増加させる効果があるとされる。この効果は、欧州を対象とした研究では確認されているが、中国や日本の研究ではされていない。本研究では、同時期に進んだ日本の企業統治の変化を制御した上で、IFRS適用が資本市場や株主構成に与えた影響を分析することを目指す。IFRS適用が強制である欧州と異なり任意であり、同時に企業統治のあり方が近年変化しているという、日本のユニークな環境を活かすことが、学術的に独自性のある分析になると考えている。
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