研究課題
基盤研究(C)
「行列」と「修理」は、ソ連の消費を理解するために不可欠な象徴的現象である。本研究では、消費を家計の視点から捉え、ソ連経済における消費、更には計画経済システムの実態をより立体的に把握する。具体的には、後期ソ連(1960年代~1980年代)を念頭に、家計による(探索・行列を含む)獲得活動と家内生産・修理活動に着目し、スポット的な「購買」や、生産―消費の二項対立的な視点では見えてこないソ連の消費の実態を明らかにする。また、計画経済や市場に含まれない第三の領域としての家庭内の消費活動の役割を示し、半自給自足的なダーチャ(別荘)生活などから、生産と消費の相互連鎖的な関係や、ソ連独自の消費文化も検討する。