本研究の問いは「なぜ、どのように、非主体的な経験が主体性の獲得に繋がるか」である。 従来の研究では、主体性を促進する個人特性や職務特性、また文脈的要 因が探求されてきた。しかし、こうした従来の研究では個人が主体的になっていく、つまり 主体性を発達的に獲得していくという視点が欠けていたことが指摘できる。個人は、はじめから主体的であるわけではない。新人のころは指示に沿って仕事をすることが多いだろう。そうした、非主体的な経験をしていくなかで、個人は主体性を獲得していくと考えられる。本研究は個人が主体性を獲得していくメカニズムを、特に非主体的な経験に着目して解明することを企図したものである。
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