日本における「大学拡張」概念は、欧米からの輸入概念を踏まえつつ、明治30~40年代に大学と教育会や医師会、新聞社等々との協力・連携により実践に取り組まれる中で形成されたものである。従来注目されていたのは専ら早稲田大学校外教育部の取組であったが、明治30年に設置されて以降一貫して「開放性」を大学経営の柱としていた京都帝大の果たした役割も極めて重要である。にもかかわらず、『京都大学百年史』等の沿革史の中で取り上げられるだけでその意義が大学史研究の中で十分に評価されているとは言い難い。 本研究では、実施計画記載の3点に焦点を当て、大学が社会において果たすべき役割、大学の存在意義は何かを再検討する。
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