本研究は、敗戦直後から1950年代にかけて、地域の青年が青年団などを母体として行った非職業的な演劇活動の実態と性格を明らかにするものである。特に、そうした活動と、その重要な条件となった戦前・戦中の新劇や地方演劇の動向とを、統一的な視野に収めながら検討する。大正から昭和初期にかけて展開した新劇運動は、多くの地域でも演劇活動を行う人々を生み出した。彼らの地域での活動は、敗戦後の演劇活動の重要な土壌となった。また、新劇運動に携わっていた脚本家や演出家、俳優の多くは、戦争を機に疎開などの理由で地域に移り住んだが、敗戦後、彼らの多くが地域の青年たちに演劇の指導を行った。
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