研究課題
基盤研究(C)
カイラル(鏡映対称性のない)な構造を有する系では、光学活性など、アキラル(鏡映対称性がある)な系では起きないような興味深い現象が生じる。その一例として、カイラルな結晶構造では、3重以上の縮退をもつ自由度の大きな状態(多重粒子)が低エネルギー物理を支配する。本研究では、多重粒子に固有の電気伝導・熱電効果・非線形応答を理論的に明らかにすることで、結晶構造のカイラリティと電子状態のトポロジーの両方に由来する特異的な量子輸送現象を探索する。さらに、電子状態が自発的に獲得するカイラリティである、カイラル超伝導状態が誘起する非線形熱電効果を明らかにし、超伝導状態のカイラリティの検出可能性を議論する。