研究課題
基盤研究(C)
細胞外の化学シグナルに応答する走化性は広く知られているが、細胞内構成要素であるオルガネラや生体高分子が走化性を示すかは長らく未解明であった。申請者はこれまでに、タンパク質濃度勾配によるオルガネラ輸送の熱力学理論(ケモフォレシス)を構築し、原核細胞内のDNA分配機構を予言・実証してきた。本研究ではこの理論を分子スケールに拡張し、「分子走化性(分子ケモフォレシス)」として定式化することで、分子数ゆらぎを伴う走化性の駆動機構を確率過程や反応動態の理論に基づいて解明する。さらに、代謝酵素や遺伝子座の自己集合など多様な細胞内現象への応用と普遍性の検証を行う。