研究課題
基盤研究(C)
被子植物を頂点とする植物の繁栄において,代謝系の遺伝子進化が果たした役割は大きい。核酸プリン塩基の分解で生じるアラントインの生成系は,植物では連続する2つの酵素が遺伝子融合により単一の二機能性酵素へと進化し,それはアラントイン合成酵素(ALNS)と呼ばれる。さらに,ALNSは裸子植物から被子植物への進化に伴い選択的スプライシングを獲得し,細胞内局在が異なるイソ酵素を持つに至った。このようにALNSは,遺伝子の構造と発現制御に係る二度の画期的な分子進化を遂げた希有な酵素である。本研究は,普遍的な代謝を担うにも関わらず,植物で特異に進化した酵素に着眼し,その進化生理学的な意義と必然性を解明する。